広島県地域猫活動
ガイドライン
広島県動物愛護センター
はじめてみませんか?地域猫活動を!
野良猫を迷惑に思う人
【野良猫によるトラブル】
・ふん尿による被害がある
・ゴミや花壇を荒らされる
・鳴き声がうるさい
・無責任なエサやりがいる
・敷地内に子猫が生また
野良猫はいない方がいい
野良猫に手を差し伸べたい人
・不幸な猫を助けたい
・お腹を空かせてかわいそうなの
でエサをあげたい
・不妊手術をしてあげたいけれど
お金がかかる
屋外で暮らす野良猫はかわいそう
数を減らしたい
みんなが考えていることは同じ!
「ふん尿による被害がある」,「ゴミや花壇を荒らされる」などの野良
猫(「所有者(飼い主)のいない猫」)によるトラブルには,これまでは有
効な解決策がありませんでしたが,この問題を「地域の生活環境問
題」としてとらえ,野良猫を排除するのではなく,地域住民が主体と
なって適切に管理していく「地域猫活動」が,今,注目されています。
この問題を地域猫活動で解決してみませんか
-1-
地域猫活動とは
地域住民が主体となって,地域にいる野良猫の不妊去勢手術を行い,
エサのやり方やふんの始末などに関するルールを定めて,地域で野良
猫を適切に管理していくことにより,野良猫によるトラブルを減らすとと
もに,不幸な野良猫の数も減らして,住みよい地域にしていく活動です。
「地域猫活動」は,国もガイドラインをつくるなどして推進しており,全
国的に,人と野良猫が共生してくために有効な方法と考えられています
。
協力 主体 協力
動物愛護ボランティア
行政
動物病院 等
1適切な
エサやり
地域住民
4不妊・去勢
手術
3トイレを設置し,
ふん尿の始末・管
理,周辺の清掃
2エサ場の
清掃・管理
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具体的にはどうすればいいの?
ステップ1
ステップ2
ステップ3
ステップ4
ステップ5
ステップ6
ステップ7
地域で,この活動の実施の合意をとる
1地域での協力者,代表者を選任する。
2必要に応じて,会合等で地域住民に活動内容を説明する。
3この活動を行う旨を地域住民に回覧板で周知する。
飼い猫の飼育指導
1地域住民代表等が猫の飼い主に対し,不妊去勢手術,屋内
飼育,所有者明示(首輪に迷子札をつける)の実施を啓発する。
飼育管理のための準備
1地域住民が,エサを与える場所・方法,担当する人を決める。
2猫のトイレの設置場所,清掃などの管理をする人を決める。
*普段その地域で餌を与えている人と共に考えます。
3手術等の費用を確保する。
生息数を確認
1エサを食べにくる猫の数を確認し,その猫に所有者がいないこと
を確認する(写真などで確認,調査期間を一週間程度)
→その猫たちを「地域猫」とします。 毎日の飼育管理
1決められた場所と時間にエサを与える。
2エサの管理・ふん尿の処理・健康状態の確認を行う。
3地域住民は,飼育管理を行う際に,地域を巡回し,適宜,周辺の
清掃を行うとともに,猫が遺棄されないようにパトロールする。
不妊去勢手術の実施
1地域猫を捕獲する。
2地域猫の不妊去勢手術を実施し,目印として片方の耳を
V字にカットする。 3元の場所に戻し,地域猫として管理する。
飼育管理の継続
1毎日の飼育管理(ステップ5)を継続していく。
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地域猫活動の効果は?
1エサ場やトイレの管理,周辺の清掃による効果
*ふん尿の被害が改善されるとともに,環境美化が進みます。
*地域を巡回することにより,捨て猫を防ぎます。
2 適切なエサやりによる効果
*置きエサや食べ残しの放置をしないので,猫がゴミをあさることに
よる散乱がなくなり,カラスやネズミ等による被害を防ぎます。
*猫はエリアを守るため,他の地域からの猫の侵入を防ぎます。
*トイレの清掃時間が一定の時間にできるようになります。
(食後約30分で排泄します。)
3 不妊去勢手術による効果
*新たな猫の出産がなくなり,殺処分することなく徐々に数が減りま
す(野良猫の寿命は一般に3年から5年といわれています。)。 *さかりの鳴き声がなくなります。 *尿の臭いが極端にうすくなります。
4 近所の理解による効果
*地域のコミュニケーションが活性化し,地域で動物を可愛がる気持
ちが生まれます。
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地域猫活動Q&A
Q.エサはどうやって与えるの? A.
エサを与える場所を決め,できるだけ同じ時間に与えます。水も与え
てください。
猫が食べ終わったら,残りのエサは片付けてください。
他の動物がこないようにするため,置きエサはしないでください。
Q.猫用トイレはどうやってつくるの? A.
猫は清潔好きで,砂ややわらかい土を好んでふん尿をする習性が
あります。できるだけまとまってさせるために次の点を考慮してトイレ
を設置してください。
1雨のかからないような乾いた場所を選びます。
2砂や土を少し盛り上げるようにしておきます。
3エサ場から少しはなれたところに,トイレを設けます。
【具体的な例】
・プランターに砂ややわらかい土を入れる
・猫の通り道にトイレ砂をまく など
猫は自分の臭いがついた場所にトイレをする習性があります。一度,
当該猫のふんをトイレに入れて臭いをつけるか,トイレに「またたび」を
入れて猫に自分の臭いをつけさせてください。
こまめにトイレの清掃をしないと,他の場所でするようになってしまい
ますので,こまめに清掃することが大切です。
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Q.エサやりやトイレの管理は誰がするの? A.
地域住民の方が行います。「エサやり」や「トイレの
管理」,「周辺の清掃」について,それぞれ担当する方
を決めて実施してください。地域猫活動で最も重要な
ところです。野良猫によるトラブルを減少させるため
に確実に実行してください。
Q.不妊去勢手術をする費用はどうするの? A.
猫の不妊去勢手術をするためには,やはり手術代金を工面しなけ
ればなりません。
地域猫活動の取組みを進める中で,町内会・地域住民との話し合
いで,募金等で協力を得ていきます。
なお,広島県では,「地域猫活動ガイドライン」に則した地域猫活
動に対しては,無料で不妊去勢手術を行う制度を設けています(年
間頭数に制限あり)ので活用してください。
Q.不妊去勢手術をする時はどうやって捕まえるの? A.
猫は警戒心が強く,いざ捕まえようとしてもなかなか上手に捕まえ
ることができません。
数回に分けて行うと,猫同士のコミュニケーションで警戒心がさら
に強くなるため,できる限り短期間で捕まえるようにしてください。
時間と場所を決めてエサを与えていれば,猫は,その時間,その
場所に姿を現すようになりますので,そのときに捕まえましょう。
キャリーの扉を開けて,その中でエサを与える方法もあります。
どうしても捕まえるのが難しい場合は,動物愛護センターやボラン
ティア団体にお問い合わせてください。
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Q.動物愛護センターは地域猫活動にどのような協力を してくれるの?
A.
動物愛護センターが行うことが可能な協力の内容
■地域猫活動
に関する説明
・町内会長・自治会長に対し地域猫活動に関す
る説明を行います。
・会合等へ出席し,地域猫活動に関する説明の
補助を行います。
■ルールに基
づく活動実施
・地域猫活動を円滑に実施するための活動の
ルール作りに協力します。
・地域猫活動実施地区の現地調査を行い,地域
猫の特定やエサやトイレの管理に関して必要な
助言を行います。
■不妊去勢手
術の実施
・不妊去勢手術を行うために,猫の捕獲等につ
いての助言等を行います。
・町内会や自治会で,地域猫として管理する猫
については,動物病院などで無料で不妊去勢
手術を行います(年間頭数に制限あり)。
■地域猫活動
に関する資料
提供
・地域猫活動を周知するための回覧用チラシ等,
動物愛護センターが作成した資料を提供します。
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<参考>
野良猫対策に関するQ&A
Q.野良猫は動物愛護センターが捕まえればよいの では?
A.
犬の場合は,放浪犬がいれば,「狂犬病予防法」に基づいて動
物愛護センターが捕まえていますが,猫は,犬とは法律上の扱い
が異なり,動物愛護センターが捕まえることはできません。
Q.野良猫へのエサやりをやめればよいのでは? A.
ふん尿被害などの野良猫によるトラブルには,無責任なエサや
りを行わないよう注意したり,野良猫を敷地内へ侵入させないよ
うに自衛で忌避対策を行うなど,これまでは野良猫を排除するこ
とを前提とした対策が行われてきました。
しかし,排除できなかった猫や隠れたエサやりによりすぐに元
の状態に戻ったり,たとえ野良猫をその場から排除できたとして
も,エサ場を失った野良猫は餓死するわけではなく,近隣周辺に
散らばり,各所のゴミをあさるなど新たなトラブルを発生させるこ
とになります。これでは問題が解決したとは言えません。
「地域猫活動」は野良猫を排除するのではなく,不妊去勢手術
を行うなどして適切に管理していく方法です。地域猫の飼育管理
を正しく行えば,ふん尿被害などの野良猫によるトラブルが減少
し,不幸な野良猫の数も数年で減少します(野良猫の寿命は一
般に3年から5年といわれています。)。
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<参考>
それでも「今すぐ猫の迷惑を防ぎたい!」
場合の対処法(忌避対策)の例
1 猫が嫌がる臭いのものをまく
◎「木酢液」「酢」「唐辛子」などを水で薄めたもの
500ccのペットボトルに「木酢液」を満たし,唐辛子を細かくしたものを10
本分くら い入れて2~3日おいたものを原液とし,効果がなくなってしまわ
ない程度に水で10倍くらいに薄めて使用する。
◎塩素系消毒薬(漂白剤)溶液
原液を100倍程度に水で薄めて使う。
◎レモン・みかんの皮,コーヒーかす
◎ニコチン液
フィルターと紙をとってほぐしたタバコ5~6本分を,水の入った2リットルの
ペットボトルに入れて一晩おき,茶色になったタバコ液を,猫に来られて困っ
ているところにまいておく。
2 猫が不快に感じるものを置く
◎猫よけ用の砂利を敷く
猫が嫌う角が尖っている小石でできている。
◎猫よけ用のシート(テープ)を猫の通り道に貼る
雨や水に濡れたら貼りかえる。
◎猫の通り道に釣り糸やワイヤー等を10cm間隔程度に張っておく
ひげ,毛に触れるのを嫌がる。
◎超音波装置を設置する
赤外線センサーで猫の動きをキャッチし,その動きに合わせて超音波を放
射することにより猫を遠ざける。
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<参考>
猫の飼い主さんへ!
責任を持って正しく飼いましょう
動物(猫)を飼うには責任が伴います。正しく飼って,一頭一頭を幸せにすると
ともに,周辺住民の快適な生活環境を守ることが飼い主の責任です。
◎終生飼養しましょう
もし飼えなくなった場合でも,新たな飼い主を探すのが飼い主の責任です。絶
対に捨ててはいけません(※動物の遺棄は犯罪です)。
◎不妊去勢手術をしましょう
猫は繁殖力が旺盛な動物で,1頭の猫が1年半後には30頭以上に増えるこ
ともあります。産まれた子猫を自分で飼えるか,飼えない子猫は全て責任を持っ
て里親を探せるか,よく考えましょう。
【不妊去勢のメリット】
発情期の大きな鳴き声や,尿の強烈な臭いが軽減されます。また,ストレスが
軽減され,性格が穏やかになり飼育しやすくなります。
◎屋内で飼いましょう
猫を放し飼いにすると,近隣住民がふん尿等により被害を受けるなど,トラブ
ルの原因になることがあります。また,感染症や交通事故,野生動物に襲われ
るなど,外は猫にとって危険がいっぱいです。
屋内飼いは,猫の自由を奪うと思われるかもしれませんが,上下運動ができ
る遊び場があれば,ストレスをためずに飼うことができます。
※不妊去勢手術を行わないまま猫を放し飼いにすると,他の放し飼いの猫
や野良猫との間に不幸な命を生み出すことにつながります。自分の飼って
いる猫が原因で地域の野良猫が増えないようにするためにも,屋内飼いと
不妊去勢手術をすることが大切です。
◎飼い主を明示しましょう
責任を持って飼っている猫であることを,首輪に迷子札を付けて明示しましょう。
◎外で置きエサはしないようにしましょう
外で置きエサをしたり,食べ残しを放置したりすると,他の動物が集まり生活
環境が悪化する原因になります。エサは必ず屋内で与えましょう。
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広島県地域猫活動ガイドライン
平成27年11月30日策定 広島県動物愛護センター
〒729-0413 広島県三原市本郷町南方8915-2 TEL(0848)86-6511 FAX(0848)86-3720